2019年8月25日(日)のメッセージ
必要なことはただ一つだけ
「主はお答えになった。『マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。』」
(ルカによる福音書10章41~42節:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)
東京バプテスト神学校本科生
横浜JOYバプテスト教会員 澤田 猛
マルタとマリアの対照的な態度から、また、イエス様のマルタに対するお言葉を聞いて、「ちょっとイエス様、あまりにも酷な言い方ではないですか!」と思われる方も多いことでしょう。どこか腑に落ちない感じを持たれる方も多いのではないでしょうか。この聖書箇所から、以下の3つのポイントを分かち合いたいと思います。
第一は、『必要なことはただ一つだけである』ということ、即ち、イエス様から御言葉を聞くことを第一としなさいということです。教会でも、マルタ的な奉仕が確かに必要ですし、そのように思われがちですが、それ以上に、今、主が語りかけられる御言葉に聞き入るマリア的な態度こそ優先すべきであるという信仰生活の優先順位を示しているのです。
第二は、「今」を大切にしなさいということです。折角、救い主が来られているのに、接待で忙しくしているために大切な御言葉を聞くことができなかったマルタは、結果として「今」をおろそかにすることとなってしまったのです。 先々のことを心配したり配慮ばかりしている人は「次」を生きている人であると榎本保郎先生は語ります。(「教会づくり入門」より)先々のことを心配して心を煩わせるのではなく、「今」を生きる人として、「今」共にいらっしゃる主を見上げて、「今」を大切に生きていくことが大切なのです。
第三は、『思い煩い』から始まる負の連鎖を断ち切りなさいということです。喜びをもって始めたはずのマルタの接待(奉仕)が、『思い煩い』によって、不満や嫉妬心へと変化して、喜びを見失って“重荷”となってしまったのです。このようによい奉仕の中にも、“落とし穴”が潜んでいるのです。奉仕自体が目的になってしまうと、神様が見えなくなってしまうという危険性も潜んでいるのです。そして『思い煩い』から始まる負の連鎖を断ち切る唯一の方法は、『自分たちのできることを精一杯誠実にやれば、あとは主が責任をとってくださる』という信仰に立って、全てを主に委ねるということなのです。『あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。』(Ⅰペテロ5:7)