メッセージ

2019年11月24日(日)のメッセージ

主にあって世に仕える
~世界バプテスト祈祷週間~

「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ。」
(コリントの信徒への手紙一・12章9節a:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)

牧師 坂元幸子

11月第四週から12月第一週は世界バプテスト祈祷週間です。中国に派遣されたアメリカの女性宣教師ロティー・ムーンの提唱によって始められたこの週間は南部バプテストの宣教師によって日本にも伝えられ、日本バプテスト女性連合を中心に世界伝道の為に祈り献げ、宣教師を支える重要な働きとして諸教会・伝道所で推進されています。そして女性会だけではなく壮年や青年、少年少女と広く教会全体で取り組むプロジェクトとして親しまれているのです。

1860(万延元)年南部バプテスト連盟はまだキリシタン禁制下にあった日本伝道への祈りをもってローラー夫妻を送り出しました。しかし夫妻を乗せた船エドウィン・フォレスト号はニュ―ヨーク港を出発後太平洋上で消息を絶ちました。バプテストの日本伝道は最初の宣教師の殉教という歴史の上にあることを忘れてはなりません。その後アメリカでは南北戦争が (1861-1865)始まって経済的な困難が生じ、日本への次の宣教師派遣はローラー夫妻から26年後の1889(明治22)年まで待たねばなりませんでした。同年10月マッコーラム、ブランソンの2組の宣教師が横浜に到着します。バプテスト日本伝道の始まりでした。

日本のバプテストの最初の宣教師派遣は1955年当時米国統治下にあった沖縄へ調正路(しらべ・まさじ)師を送ったことに始まります。その後60年代にブラジル、80年代にインドネシア、タイへと開かれた宣教師派遣は現在のインドネシアとカンボジアにつながり、更にはシンガポールとルワンダにも派遣形態の異なる多様な働き人が送られる現状へと発展してきました。「エルサレムからユダヤ、サマリアの全土、また地の果てに至るまで」(使徒1:8)とイエスさまが弟子たちに言われた宣教命令は、このような形で今、実現されているのです。

インターネットは瞬時にして地球上のどことでもつながる社会環境を可能にしました。検索すれば世界中の情報が手に入ります。そして情報は今や巨大な「力」であり「財力」です。そのような世界の中でなぜ私たちは宣教師を派遣するのでしょう。世界祈祷週間を守るのでしょう。それはイエス・キリストの福音の本質、つまり主が人として生まれ弱く貧しい者の一人として生きまた死なれた、その神の出来事と深く関わっています。弱さの中でこそ十分に発揮される力、それは世が与える力とは異なるものですが、真に私たちを生かす神の力なのです。 

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