メッセージ

2019年12月29日(日)のメッセージ

その星を見て喜んだ
~年末感謝礼拝~

「彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て喜びにあふれた。」
(マタイによる福音書2章9~10節:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)

牧師 坂元幸子

最近日が本を訪れてブームを巻き起こしたローマ教皇フランシスコがクリスマスの25日に自身のインスタグラム(写真共有サイト)に挙げた写真がネット上で話題です。その写真は寝床に横になってぐっすり寝込んでいるマリアの脇で夫ヨセフが生まれたばかりの赤子のイエスさまを抱きかかえてあやしている絵です。写真に添えられた一文は「ママを休ませてあげよう。」教皇はユーモアを解する粋な方だと感心する楽しいクリスマスの投稿でした。

マタイによる福音書は幼子イエスさまのもとを訪れた外国からの客人のことを述べています。彼らはユダヤからはるか遠く離れた東方に住む占星術の学者たちで、ユダヤ人の王が生まれると告知する星に導かれてエルサレムまでやって来たのです。エルサレムで彼らはまずヘロデ王の王宮に行きました。王の誕生であれば王宮を訪ねるのは当然です。しかし彼等はそこでは探し求める方には会えず、代わりに預言者ミカの言葉に出会いました。神の約束の民ではない異邦人の学者たちが、何世紀もの間ユダヤに語り伝えられた神の預言に出会ったのです。

華やかな都エルサレムから当時寒村であったベツレヘムへの進路変更。それでも彼らはいっこうに頓着することなく、東方で見た星に導かれ続け、ついに幼子イエスさまにまみえました。そこは王宮ではなく慎ましい家。しかし彼らは喜びに満ちあふれ、ひれ伏して幼子イエスさまを拝みましたそして遠く東方より持参した宝の箱から高価な贈り物、黄金、乳香、没薬を、惜しみなく献げたのです。

イエス・キリスト降誕の出来事、それは今までまったく予想もしなかった出会いが神によって引き起こされる物語であると聖書は告げています。その出会いとは見知らぬ誰かとだけでなく、予想外の新しい自分との出会いであるかもしれません。また今まで気づかなかった社会の側面や見慣れた世界を捉え直す新しい視点かもしれません。2020年はもう目の前です。

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