メッセージ

2020年6月7日(日)のメッセージ

主に倣う者となっている
~6月はテサロニケⅠを学びます~

「わたしたちは、祈りの度に、あなたがたのことを思い起こして、あなたがた一同のことをいつも神に感謝しています。あなたがたが信仰によって働き、愛のために労苦し、また、わたしたちの主イエス・キリストに対する、希望を持って忍耐していることを、わたしたちは絶えず父である神の御前で心に留めているのです。」
(テサロニケⅠ 1章2~3節:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)

牧師 坂元幸子

6月の「聖書教育」はテサロニケの信徒への手紙一を学びます。使徒パウロが紀元50年頃にテサロニケの教会に宛てて書いたこの手紙は、新約聖書の中で最も初めに書かれた書簡です。

第二次伝道旅行の際パウロとシラス(シルワノ)がテサロニケで伝道した時、多くの人々がキリストを信じました。しかしそれを妬むユダヤ人たちが暴動を起こし、教会のリーダー、ヤソンの家を襲い、数人の教会員を捕えて町の当局者たちのもとに引き出したのです。その理由は、「彼らはローマ皇帝の勅令に背いてイエスという別の王がいると言っている」というものでした(使徒17:1~9)。パウロが手紙の冒頭で「あなたがたはひどい苦しみの中で、聖霊による喜びをもって御言葉を受け入れ、わたしたちに倣う者、主に倣う者となり、マケドニア州とアカイア州にいるすべての信者の模範となるに至った」(Ⅰテサ1:6~7)と書き送った背景には、教会の人々が直面していたこのような迫害の現実、すなわち大きな権力による圧迫と排除との激しい闘いがあったのです。

「信仰によって働き、愛のために労苦し、キリストに対する希望を持って忍耐する」(1:5)、テサロニケ教会の人々の生き方は彼ら彼女らがパウロの生き方に倣う者、すなわち主イエスの生き方に倣う者であることの証しであり、その姿がひるがえってパウロ自身への大きな励ましや勇気づけとなりました。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」(5:16~18)のあの有名な勧めも、その一つひとつの前に「(十字架において苦しまれた)キリスト・イエスにおいて」の一文を加える時、パウロが意図した本当の意味が初めて浮き上がってくるのです。

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