メッセージ

2020年6月21日(日)のメッセージ

主にあって立たされて

「それで、兄弟たち、わたしたちは、あらゆる困難と苦難に直面しながらも、あなたがたの信仰によって励まされました。あなたがたが主にしっかりと結ばれているなら、今、わたしたちは生きていると言えるからです。」
(テサロニケⅠ 3章7〜8節:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)

牧師 坂元幸子

「家と庭と道を消毒しなさい。人々と集会の場所を避けなさい。」16世紀のドイツで黒死病(ペスト)が大流行した時、宗教改革者マルティン・ルターが出版した感染予防冊子の一節です。当時一部の「信仰深い」人々は感染症を神の降した刑罰だとみなしてそれを避けるのは不信仰だと主張しました。彼らは薬の使用を軽んじ黒死病感染の危険を避けようとしませんでした。しかしルターは、「家が火事になった時神の審判だとそのまま傍観するのか、溺れた時神の審判だと言って泳ごうともしないのか」と訴え、軽率かつ無分別に神を試したり感染病予防を無視することを戒めました。

どのような困難の中でも神を信頼し、だからこそ私と隣人の間で感染を予防することが何よりも大切なのだとルターは人々を啓蒙しました(「連盟宣研ニュースレター」6/17号より)。今に通じる話です。人間の思いや力を超える困難や苦難に襲われた時、それらを短絡的に神と結びつけて「思考停止」に陥り、それが「信仰深い」ことだと思ってしまうことがあります。神はどのような状態にあっても私たちと共におられ、私たちを愛してやまない方であることを、忘れてしまうのです。

使徒パウロが手紙を書いたテサロニケ教会の人々は厳しい迫害による苦難の中にいました。苦難のゆえに信仰を無くしてしまうのではないか?別の指導者に誘われて違った信仰に陥ってしまうのではないか?心配ですぐにも駆けつけたいパウロでしたが代わりに弟子のテモテをテサロニケに送りました。帰って来たテモテが届けたうれしい知らせ、それはテサロニケの人々が苦難の中でも動揺することなくしっかりとイエスさまに結ばれて、パウロのために祈っていてくれたことでした。テサロニケ教会の人々を苦難の中でしっかりと立たせて下さるイエスさまは、教会の人々を通してパウロのことも支え生かして下さっています。たとえ一緒にいることができない時もイエスさまは私たちを一つにして下さるお方です。イエスさまが双方を支えて立たせて下さるからです。

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