2020年8月2日(日)のメッセージ
異国での苦しみ
「エジプト人はそこで、イスラエルの人々の上に強制労働の監督を置き、重労働を課して虐待した。イスラエルの人々はファラオの物資貯蔵の町、ピトムとラメセスを建設した。…彼らが従事した労働はいずれも過酷を極めた。」
(出エジプト記 1章11節、14節b:日本聖書協会 新共同訳 旧約聖書)
牧師 坂元幸子
先週はようやく定期総会と決算総会を終えることができ、心から主に感謝致します。今日から8月、年間主題標語や聖句、賛美歌をもって新しい月を始められることを心から喜んでいます。さて、今月から「聖書教育」の学びは出エジプト記に入ります。出エジプト記と言えばエジプトで奴隷状態にあったイスラエルの民をモーセが率いて脱出させた際、行く手を阻む紅海が二つに割れてイスラエルの人々を救った出来事で有名です。繰り返し映画化もされています。
ところで8月の第一主日と言えば私たち藤沢教会にとっては特別の記念日です。7年前の2013年8月4日、新会堂の入堂式が行われた日だからです。朝10時正面玄関の前に集まり、リボンカットをして鍵を開け、聖歌隊の讃美に導かれながら皆でそろって礼拝堂に入って行きました。今思い出してもワクワクする瞬間でした。1989年に「双子の幻」として「藤沢市北部開拓伝道」と「教育館/新会堂建築」を総会決議して以来、24年目の大きなヴィジョンの実現でした。あれから7年、皆さんの丁寧なお手入れで礼拝堂は当時のままの新しさを保っています。
教会の歩みにはこのように「神さまの恵み」を憶えて記念する出来事があります。聖書に描かれた神の民の歴史もそうです。出エジプトの出来事はイスラエルの人々にとって親が子に、子が孫に、世代を超えて生涯語り継ぐべき神さまの偉大な恵みの業です。記念日を憶える時、 私たちはそこに表された神さまの恵みと慈しみをもう一度思い起こし、み名を賛美するのです。
出エジプト記は創世記の族長たちの歴史の連続として始まります。アブラハム、イサク、ヤコブ、そしてヨセフです。ヨセフは父ヤコブの偏愛を受けて兄弟たちの嫉妬を買い、エジプトに売られてしまいます。しかし不思議な主の導きで彼はエジプトでの苦労を乗り越えてついにはファラオ(エジプト王)の宰相となります。カナン地方を飢饉が襲った時ヨセフの兄弟たちが食物を求めてエジプトにやって来ました。神のみ手による再会です。兄弟たちと和解し父ヤコブも呼び寄せたヨセフと一族はそれ以来エジプトで暮らす異国の民となりました。それから 長い時間が経ちイスラエルの民はエジプトで増え広がり、ヨセフを知らない王が民を恐れて弾圧するようになりました。過酷な強制労働の中でイスラエルの民は苦役にあえぎます。その声なき声は主なる神に届き民の解放の業が始まろうとしていました。それがモーセの誕生です。