2022年5月29日(日)のメッセージ
共に元気に
「元気を出しなさい。皆さんのうち誰一人として命を失う者はいないのです。」
(使徒言行録27章22節:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)
牧師 伊藤真嗣
いよいよ、使徒言行録の最後のクライマックスに入ります。パウロの最後の旅はローマです。使徒言行録27章は、ローマに向かうパウロの船が嵐に遭い、その中でパウロだけが、この嵐では死なないことを確信して人々を励まし、乗船していた人々全員が助けられたという物語です。
「しかし今あなたがたに勧めます。元気を出しなさい。船は失うが、皆さんのうちだれ一人として命を失う者はないのです...ですから、皆さん、元気を出しなさい。」(22節)激しい嵐の中、パウロは力強く語ります。最初はパウロを信用していなかった百人隊長も、絶望感の中でパウロの言葉を聞いて励まされます。
翌朝、パウロは14日間何も食べずにいる人々の前で自らパンを割いて感謝の祈りを捧げて食べ始めまし た。一同も元気づいて食事をした(35.36節)とあります。主の晩餐は単なる食事や儀式ではなく、主イエス・キリストを想起しつつ、信仰を持って受け止めて、共に応答するものです。今はコロナ禍で主の晩餐や愛餐会が集まってやることが出来ないからこそ、その恵みを改めて実感することが出来るのです。
本日のタイトル「共に元気に」これは1人1人に主が語りかけられている言葉であると同時に、パウロのように今日のキリスト者の務めの一つに人を励ますこともあるのではないかと思います。さまざまな問題に満ち、どこを向いても希望がない今日の社会は、みなどう生きてよいか分からなくなっています。パウロだって捕まり弱ってローマに連行されています。しかしそういう状況の中で立ち上がって「元気を出しなさい」とみんなを励ますのがクリスチャンの使命、牧会者の使命ではないかと思うのです。決して1人じゃない。主は今日も私に「元気を出しなさい」と言って励ましてくださることを心から感謝いたします。