メッセージ

2023年12月3日(日)のメッセージ

ヨセフの誤算

「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。 その名はインマヌエルと呼ばれる。」
(マタイによる福音書 ‬1章23節‬:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)

牧師 伊藤真嗣

今週からアドベントに入りましたが、今年も皆さんと共にクリスマス物語を読んでいきたいと思います。その最初にイエスさまの両親マリア・ヨセフの若い夫婦の葛藤を見ていきます。特にヨセフは、婚約者のマリアが「身ごもった」ことを天使から告げられた時の戸惑いは相当なものだったと想像します。というのは、当時のユダヤ人の律法によれば、婚約する前に身ごもることは、姦淫した女は石で打ち殺されなければならなかったのです。(申命記22:23)しかし、マリアを愛していたヨセフはそうするに忍びなかったのでしょうし、ヨセフは「正しい人であった」ので、「そのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに離縁しようと決心していた」(19)

ヨセフにとって全く予定外の想像もしなかった出来事が起きてしまったのです。まさに「想定外」とはこのことでしょう。自分が考えていた未来像や見込んでいた家庭計画は、いわば「誤算」となってしまったのでした。しかし、そんなヨセフに対して、天使は「恐れるな」「恐れずマリアを妻に迎えなさい。マリアの胎の子は、「聖霊によって宿ったのだ」と告げられました。これは、もしマリアが自分の「正しさ」の外側にいるのなら、自分の「場所」から出てその外に出ていきなさい、と告げたと言う事です。
外に行くのは恐いけど、天使は「恐れるな」と言います。ここに素晴らしい本物の神さまの愛があります。これまでヨセフが描いていた人生設計とは全く違った道を歩く事になってしまったわけですが、ヨセフは今、それをもはや「誤算」とは思ってはいません。

「恐れるな」「インマヌエル」という言葉と共に、自分の重荷を担ってくださる、十字架のイエス・キリスト共に歩いてくださることに感謝します。

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