2025年11月23日(日)のメッセージ
早く和解しなさい
(殺してはならない)
「早く和解しなさい」
(申命記 5章17節:日本聖書協会 新共同訳 新約聖書)
牧師 伊藤真嗣
今日の十戒の6戒「殺してはいけない」の言葉は恐ろしい言葉に思えますが、それほど人間の現実や本質を表しているのではないでしょうか。最近では家族でも介護による苦しみから親や子どもを殺してしまったり、SNSで自殺サイトで依頼して殺してしまう事件など、決して他人事ではない身近な問題とも言えます。
先日から安倍元首相を襲撃した山上徹也被告の裁判が行われていることも、彼の起こした事は決して許されないですが、彼の生い立ちや背景を聞けば聞くほど、彼の悩みや孤独を感じます。親から愛されたことのない子どもは「愛されない辛さ」を抱えながら、苦しみ傷付いて孤独を生きています。
一方新約聖書でも、主イエスが兄弟間の和解を勧めてこの十戒に更なる深い意味を持たせています。「だから、あなたが祭壇に供え物を献げようとし、兄弟が自分に反感を持っているのをそこで思い出したなら、その供え物を祭壇の前に置き、まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい。あなたを訴える人と一緒に道を行く場合、途中で早く和解しなさい」(マタイ5:23-25)主なる神が自分に「あなたは」と語りかけています。その語りかけを受け、神との交わりに生きていくことによって、私たちも、隣人に「あなたは」と語りかけ、その人を傷つけ殺すのではなく、愛し合いを大切にし、交わりを築いていく者となっていく道が開かれるのです。
「和解なんてできない、できない」と思うわたしたちですが、このようにできないわたしたちと神さまの間に入って下さって、私達の罪が赦され、新しい道が広がるように。そしてイエスさまご自身が、その和解の執り成しをして下さったという事を、そのためにキリストは十字架にかかって下さったという事を今一度思い出したいと思います。


